【KTM TOURRIDE 490 ― 日常を駆け、旅を愉しむ “ちょうどいい” 冒険者】

 


【KTM TOURRIDE 490 ― 日常を駆け、旅を愉しむ “ちょうどいい” 冒険者】

KTMの未来は、過激なエッジだけではない。
鋭く、速く、攻撃的――そんなイメージが定着してきたKTMだが、今そのブランドは次の地平を見つめている。
それが「TOURRIDE 490」という新しい提案だ。

このマシンは、ただのミドルクラスアドベンチャーではない。
KTMが初めて本気で“日常と旅の中間点”に向き合った、まったく新しいジャンルの開拓者。
スポーツの血脈を受け継ぎながらも、穏やかで滑らかな時間を走る。そんな、成熟したライダーにふさわしい一台である。


■ スマートで軽やかな “KTMらしさ”

まず目を引くのは、その洗練されたシルエットだ。
KTM伝統のトレリスフレームに、オレンジのアクセントを織り交ぜたマットシルバーのボディパネル。
ツーリング向けに設計されたエアロフェアリングは、視覚的な軽快さとともに、高速安定性と防風性を両立する。

ヘッドライトはLEDのYシグネチャーを採用し、KTMらしい鋭さを残しながらも、どこか控えめで上品な印象すら与える。
積載はスマートなハードパニアケースに対応し、長距離を見据えた設計思想が細部まで徹底されている

このTOURRIDE 490は、オーストリアの山岳路でも、街中のカフェストリートでも、静かに美しく存在感を示すバイクだ。


■ ちょうど良いパワー、ちょうど良いトルク

動力源は、KTMと中国CFMOTOが共同開発した490ccパラレルツインエンジン

  • 最大出力:約45~48PS

  • 最大トルク:40Nm前後(予想)

  • 低中速域のトルク感を重視した味付け

  • 燃費性能と扱いやすさを両立(30km/L以上)

この数値を見れば、いわゆる「パンチ力重視」のバイクではないことが分かる。
だが、そこがポイントなのだ。

ツーリングの現実はワインディングだけではない。信号、渋滞、細い山道、そして高速の巡航――
あらゆる状況において**「無理せず、楽しく、疲れずに走れる」こと**こそ、成熟したライダーが求めるものだ。

6速トランスミッションはスムーズなクロスレシオ設計となっており、クルーズコントロールやトラクションコントロールもオプションで搭載可能。
まさに「自分のテンポで走るバイク」という設計思想が貫かれている。


■ 操る楽しさと、信頼できる装備

ハンドリングは、KTMらしい軽快さが健在だ。
前後17インチのキャストホイールにミドル級向けのロードタイヤを履き、ワイドバーハンドルとアップライトなポジションで安心感のある取り回しを実現。

サスペンションはWP製の調整式ユニットを採用し、路面追従性は高く、舗装林道などにも十分対応する。
ABSはオンロード専用チューニングで、ライダーの急制動や下り坂でも安定性を発揮する。

装備面では:

  • フルカラー5インチTFTディスプレイ

  • スマートフォン接続(ナビ・音楽・通話操作)

  • USB-Cポート

  • シートヒーター(上位グレード)

  • ローシート仕様も選択可能

欧州仕様としても抜かりなく、ツーリング・通勤・買い物とあらゆるシーンを“スマートにこなす”頼れる1台となっている。


■ KTMが狙う、新しいオーストリアのバイク像

母国オーストリアは、KTMにとって特別な場所であると同時に、最も手厳しい市場でもある。
ユーザーの目は肥え、競合も多く、趣味性・実用性・季節性のすべてが絡み合う。

そんな中でTOURRIDE 490は、「過激さ」ではなく「共感」で勝負を挑む。

  • 朝の通勤路を軽快に

  • 休日にはグロースグロックナーの峠を越え

  • 夏にはアルプスを越えてイタリアへ――

そんな、日常と冒険を繋ぐ旅の道具としてのKTM
それこそが、次なるブランドの進化であり、販売台数拡大の鍵でもある。


【結び】

KTM TOURRIDE 490。
それは、スロットルを開けた瞬間に心拍が高まる“獣”ではない。
だが、バイクと一緒に世界を眺めたくなる“旅の伴侶”である。

過剰でなく、退屈でもない。
走りたくなる、触れたくなる、ちょうどいいバイク。
それが、KTMが本気で創った「共に走るためのミドルクラス」だ。

あなたの隣に、次に現れるKTMは、このTOURRIDEかもしれない。

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