2025年注目の新型オートバイランキング CBという名の継承、そして次なる時代へ




🏍️ 2025年注目の新型オートバイランキング

1位:ホンダ 新型CB400(仮称)

2022年に生産終了したCB400SF/ボルドールの後継モデルが、2025年秋に登場する可能性が報じられています。伝統的な4気筒400ccネイキッドの魅力を継承しつつ、最新技術を搭載したモデルとして注目されています。

2位:ヤマハ WR200R/WR200X(予想)

ヤマハの人気オフロードモデルWR250R/Xの後継として、200ccの水冷DOHCエンジンを搭載した新型が2025年に登場する可能性が報じられています。軽量で扱いやすい車体と高い走破性が期待されています。

3位:ホンダ 新型CB1000(仮称)

CB1300スーパーフォアの後継モデルとして、ホーネットベースのCB1000が2025年春に登場する可能性が報じられています。オーソドックスなデザインのヘリテイジ系ネイキッドとして、最新技術を搭載したモデルが期待されています。

4位:スズキ DR-Z4S/SM(復活予想)

スズキの名車DR-Z400S/SMが、最新装備を搭載して復活する可能性が報じられています。FI化や排出ガス規制への対応が進められており、2025年の登場が期待されています。

5位:ヤマハ YZF-R1(2025年モデル)

ヤマハのフラッグシップスーパースポーツ「YZF-R1」の2025年モデルが発表されました。大きなウイングレットを装備し、空力性能とスタイリングが大幅に向上しています

ホンダCB400スーパーフォア(CB400SF)およびそのバリエーションモデルであるボルドール(CB400SB)は、1990年代から2020年代初頭まで続いた“400ネイキッド”というカテゴリーの象徴であり、国内二輪市場における金字塔とも言える存在であった。教習車としての顔、ツーリングマシンとしての顔、さらには玄人向けカスタムベース車両としての顔を持ち、多様なユーザーのニーズに応えてきた。

CB400SFが他の車両と一線を画していたのは、その完成度の高さにある。250ccや600ccでは得られない、400cc特有のバランス感覚。そこにホンダが誇る“HYPER VTEC”という独自の可変バルブ機構を与え、高回転域での官能的なフィーリングと、低回転域の扱いやすさを高次元で融合させた。その結果、CB400SFは長きにわたり“最も完成された教習車”“中型免許で乗れる最高のバイク”と称され続けてきた。

そして2005年、そのCB400SFをベースにフルカウル化したモデル、CB400SB(スーパーボルドール)が登場する。ネイキッドの気軽さと、ツアラー的快適性を両立したこのモデルは、ビギナーだけでなくベテランライダーにも支持されるようになり、“高速道路でも戦える400ネイキッド”としての地位を確立した。

しかし、2022年、ホンダは突如としてCB400シリーズの生産終了を発表する。環境規制への対応や、グローバル戦略の見直し、さらには400ccという排気量帯の市場縮小など、さまざまな要因がその背景にあった。だが、多くのライダーが感じたのは、“惜しまれつつ消えていった”という喪失感だった。

この喪失感がいま、新たな期待へと変わりつつある。CB400SF/ボルドールの名を継ぐ後継機が、再び登場するという情報がファンの間でささやかれている。しかも、それは単なる復活ではなく、ホンダの新技術やデザイン哲学を盛り込んだ“進化形CB”としての姿が期待されているのだ。

この記事では、CB400SF/ボルドールの歴史を振り返るとともに、後継機への期待と、そこに搭載されるであろう新技術、そして市場における意義を、多角的に分析していく。

第1章:CB400SFの誕生と進化の歴史

CB400SFの歴史は、1992年に登場した初代モデルから始まる。この初代CB400SFは、それまでのスーパーフォアとは異なる“新しい時代のネイキッド”を標榜し、鋼管ダブルクレードルフレームに水冷並列4気筒エンジンを搭載した、まさに中型の王道といえる構成だった。

その心臓部であるNC31エンジンは、かつてのレーサーレプリカCBR400系譜のユニットをベースに、扱いやすさと耐久性を優先したチューニングが施された。高回転まで一気に吹け上がる感覚は健在で、ネイキッドでありながら“速さ”を求めるユーザーにも確かな満足を与えた。

1999年には“ハイパーVTEC”を搭載したモデル(NC39型)が登場し、走行状況に応じてバルブの作動数を制御するという革新的なシステムが話題となる。VTECは当初、2バルブ⇔4バルブの切り替え機構として登場し、高回転域では鋭い加速を、低回転域では滑らかなトルク感を演出することに成功した。

この後も、CB400SFは毎年のようにマイナーチェンジを繰り返し、2002年にはフルモデルチェンジ(NC39前期→後期)、2008年には更なる進化形であるNC42型へと変貌を遂げた。フューエルインジェクションの採用、ABSの追加、外装の変更など、時代に応じたアップデートが絶えず施されたことが、このモデルが長命を保ち続けた一因と言える。

特筆すべきは、その完成度の高さと“ちょうどよさ”である。車重は200kg前後で足つきも良好、エンジンはスムーズで鼓動感があり、高速巡航にも十分対応可能。峠でも軽快なハンドリングを見せ、街乗りにもストレスがない。“何でもそつなくこなす万能選手”という評価は、他のモデルではなかなか得られないCB400SFならではのものであった。

こうした完成度の高さが、結果として教習所でも採用されることにつながり、CB400SFは「免許取得時に初めて乗るバイク」として、多くのライダーの原体験となっていくのである。

第2章:ボルドール誕生と“ハーフカウル”という提案

2005年、CB400SFの高い完成度をベースに誕生した新たな派生モデル、それがCB400スーパーボルドール(CB400SB)である。「ボルドール」という名は、ホンダの耐久レースマシンCB1100Rの血を引く名車「CB900Fボルドール」に由来しており、その名称には“旅”や“高速性能”といったイメージが込められている。

スーパーボルドール最大の特徴は、ヘッドライトと一体化した大型ハーフカウルの採用にあった。このハーフカウルは、フルカウルのツアラーのような高速巡航性能と、ネイキッドの軽快さの両立を目指した設計思想に基づいている。風防効果の向上により長距離走行時の疲労軽減が図られ、ライダーの快適性は飛躍的に高まった。

さらにハーフカウルの存在は、CB400SBを“ネイキッドでもフルカウルでもない第三の存在”として市場に位置付けた。特に通勤や通学、日帰りツーリング、そして高速道路を多用する社会人ライダーにとっては、理想的なパッケージであり、従来のCB400SFでは物足りなかった「風圧への耐性」「見た目のボリューム感」「ツーリング性能」などが一挙に解決された。

その結果、CB400SBはCB400SFと並ぶ人気を獲得し、ホンダ400ccクラスの販売の中核を担うようになる。リリース以降、両車種は常にセットでマイナーチェンジを繰り返し、インジェクション化、LED化、ABS搭載など、時代に即した技術が着実に投入された。

興味深いのは、CB400SBがあくまでCB400SFの派生モデルでありながら、ユーザーからは“別モデル”として認識されることが多かった点だ。たとえば、カウルの造形や配色に個性を持たせ、バイカラーの配色などで独自の存在感を醸し出していた。

また、その機能性と見た目の迫力から、大型バイクユーザーがセカンドバイクとして購入する事例も多く、CB400SBは400ccの枠を超えた“ミドルツアラー”という新たなカテゴリーを切り開いていった。


第3章:時代に逆行する400ccネイキッドの意義

日本の二輪免許制度において、400ccという排気量は長らく“普通二輪の上限”として特別な意味を持っていた。法制度上、250cc以下は車検が不要で維持費が安く、逆に401cc以上は“大型二輪”として別枠の免許が必要となる。つまり、400ccはコストと性能、法制度と実用性のバランスが極めて絶妙な“中間点”だったのだ。

この排気量帯は、かつて国内メーカーの主戦場であり、1980〜90年代にはCBR400RR、ZXR400、FZR400、GSX-R400などのスーパースポーツが群雄割拠していた。だが、時代と共にそれらは淘汰され、残ったのはCB400SFを代表とする“実用ネイキッド”であった。

CB400SFは、この“成熟した400”というポジションを実直に守り続けてきた。ライバルメーカーが250ccクラスに注力する中、ホンダは一貫して「普通免許で乗れる高品質なバイク」を提供し続けたのだ。

その背景には、教習車としての需要があったことも見逃せない。教習所での乗車体験を経て、CB400SFに親しみを持つユーザーは多く、そのまま初めての愛車として選ぶケースが多かった。この“教育と実用を兼ねる存在”というのは、CB400SFの大きな強みだった。

だが、グローバル化が進む中で、400ccという“日本独自”の規格は、徐々に世界市場とのズレを生み始める。東南アジアでは250cc以下が主力、欧州や米国では600cc以上が標準的であり、日本メーカーもグローバル市場への対応を求められていった。

この流れの中でCB400SFは“時代に逆行する存在”とすら見なされたこともある。だがそれでも、多くのライダーにとってCB400SFは“ちょうどいい”バイクであり続けた。最新技術を搭載しつつも扱いやすく、信頼性も高い。その存在は、まさに日本の道路環境とライダーのライフスタイルに最適化された、唯一無二のモデルだった。


第4章:惜しまれつつも生産終了、その背景と余波

2022年、ホンダは突如としてCB400SFおよびCB400SBの生産終了を発表した。このニュースは国内外のバイクファンに大きな衝撃を与え、インターネット上では惜別の声が溢れかえった。「あの音がもう聞けなくなるのか」「初めてのバイクだった」「また乗りたいと思っていたのに」——CB400シリーズは、単なる製品ではなく、多くの人々の“記憶”に深く結びついた存在だった。

生産終了の直接的な理由として挙げられたのは、厳格化する排出ガス規制への対応である。特に日本国内で導入された最新の「平成32年排出ガス規制(EURO5相当)」は、従来の空冷・中排気量エンジンにとって非常にハードルが高く、多くのモデルがこのタイミングで姿を消すこととなった。

さらにグローバル戦略の再構築も関係している。ホンダは世界的なラインナップの統合を進めており、“日本専売”に近かったCB400シリーズは、収益性の面で再考を迫られていた。コストをかけて排ガス対策を施すよりも、既存の500cc〜750ccクラスを拡充・共有化する方が現実的だったのだ。

販売面においても、CB400シリーズは他モデルに比べて販売台数が低下傾向にあり、若年層の二輪離れという社会的背景も逆風となった。特に都市部では、バイクを所有すること自体が経済的にも空間的にも難しくなり、実用性や手軽さを重視する層は125ccや250ccのスクーターへとシフトしていった。

とはいえ、CB400シリーズは最後まで“高品質”と“誠実な造り”を守り抜いたモデルであった。生産終了直前の最終ロットは、予約段階で即完売するほどの人気を集め、事実上の“プレミアム化”を果たす結果となった。

生産終了後、多くのユーザーやメディアは「これが終わりではない」と語った。むしろ、それは“新たなCBの始まり”の前触れであると信じたのだ。CB400が歩んだ軌跡と、積み上げてきた信頼は、決して一代限りで終わるものではない。その魂は次のモデルへと受け継がれるに違いない。

第5章:CB400SF/ボルドールの後継モデルへの期待

CB400シリーズが消えてしまって以降も、その復活を願う声は後を絶たない。ホンダというメーカーの象徴ともいえる「CB」の名を冠し、30年近くも愛され続けた中排気量ネイキッドバイク。単なるモデルの一つではなく、ライダーたちの青春、生活、記憶に刻まれた存在だった。だからこそ、その後継機に対する期待は並々ならぬものがある。

近年、さまざまなメディアやユーザーコミュニティにおいて、「CB400の復活」はしばしば話題に上る。とりわけ注目されたのは2024年に若干のリーク情報が出回った「新型CB400(仮称)」の存在である。これによりファンたちは一気に色めき立ち、「ホンダが再びやってくれる」という希望が再燃した。

後継モデルに求められているのは何か? それは、過去のCB400の良さを忠実に継承しながらも、現代的な快適性や電子制御、安全装備を備えた“次世代ミドルバイク”としての完成度である。ライダーたちは懐古主義ではなく、“進化したCB”を求めている。

また、400ccという排気量は、日本において今なお“普通二輪の最高峰”であり、多くのライダーにとって現実的な選択肢でもある。そのため、後継機には「普段使いにも対応できる実用性」「中型免許で乗れる安心感」「初心者からベテランまで幅広く支持される懐の深さ」が求められている。

では、現実にホンダが次に送り出すCBはどのような姿になるのか? それを予測するには、同社の近年のモデル展開、技術の方向性、さらには世界市場での戦略を見つめる必要がある。

第6章:後継モデルに搭載されると予想される新技術

ホンダがもしCB400の後継機を開発するならば、そこには間違いなく“現代の標準装備”が投入されるはずだ。かつてのCB400SF/ボルドールが、VTEC機構やABS、FI(フューエルインジェクション)をいち早く導入してきたように、次世代CBには最新の電子技術が盛り込まれることが強く期待されている。

まず挙げられるのが、フルカラーTFTメーターの搭載である。視認性に優れ、スマートフォンとの連携によるナビ表示や通話通知、メンテナンスアラートの表示が可能となることで、日常の利便性は飛躍的に高まる。従来のアナログ針の味わいを残しつつも、未来志向の演出が可能な設計が望まれる。

次に注目されるのが、ライディングモードの搭載だ。パワー、トルク、ABS、トラクションコントロールの制御をシーンに応じて最適化できるモード切替は、今や中排気量クラスでもスタンダードになりつつある。街乗り、雨天、高速走行など、状況に応じて自在に特性を変えられることは、初心者にも熟練者にも恩恵が大きい。

また、LEDライトの全面採用も確実視されるポイントだ。ヘッドライト、ウインカー、テールランプすべてがLED化されることで、視認性の向上と電力効率が高まり、デザイン面でも先進感が演出される。特にデイタイムランニングライト(DRL)などが装備されれば、国際的な安全基準にも適合する仕様となる。

サスペンションについては、SHOWA製のSFF-BP(セパレートファンクションフォーク・ビッグピストン)や、電子制御サスの導入可能性もゼロではない。フロントフォークのインナーチューブには、精悍さを際立たせるブラックコートが施されることも期待されている。

さらに、ETC2.0車載器の標準装備や、USB-Cポートなどの快適装備も、もはや欠かせないだろう。バイクが単なる移動手段ではなく、ツーリングパートナーとしての地位を確立している今、こうした装備の充実は“乗り手への敬意”とも言える。

エンジンに関しては、従来の直列4気筒という伝統を守りつつ、より高効率で環境性能の高い新設計ユニットが予想されている。VTECのさらなる進化や、可変吸気システムなど、ホンダらしい技術の集積が期待される部分だ。

そして何より注目されるのが、「AIによるライディングアシスト」や「コネクテッド・バイクとしての機能」である。これらはまだ一部の高級モデルに限られるが、CBが再びフラッグシップとなるならば、こうした次世代テクノロジーの“入口”を担う存在となる可能性がある。

第7章:ネオクラシックか、最新鋭か?デザイン論

CB400シリーズの後継機において、デザインは単なる外装の問題にとどまらない。むしろ“どのような思想でこのバイクを作るのか”というブランドの哲学が強く現れる部分であり、ユーザーの心を掴む最重要ポイントのひとつである。

大きく分けると、後継モデルのデザインには2つの方向性が考えられる。一つは、過去のCB400SFを踏襲したネオクラシック路線。もう一つは、まったく新しい思想で未来志向を体現する最新鋭のスタイルである。

ネオクラシック路線では、丸型ヘッドライトや二本出しマフラー、フレームのシルエットなど、CB400SFが築き上げた“文法”を継承しつつ、LED化や液晶メーターといった現代技術を融合するアプローチが主流となる。こうしたスタイルはZ900RSやXSR700といった他メーカーの成功例からもわかるように、高い市場性を持っている。

一方で、未来志向のデザインを選ぶ場合は、より攻撃的な外観、シャープなカウルデザイン、サイドに張り出したエアダクトや、アグレッシブなLEDの光の演出が想定される。これは若年層をターゲットにした“新世代CB”としての提案になる可能性が高く、従来のCBとは明確に一線を画すスタンスとなるだろう。

ここで重要なのは、“新しさ”だけを追うのではなく、“CBらしさ”をどう残すかというバランス感覚である。CB400SFの魅力は、派手すぎず地味すぎない中庸の美しさと、誰にでも受け入れられる汎用性にあった。つまり、奇をてらうのではなく、“質実剛健のなかに洗練がある”という佇まいが、CBの美学である。

カラーバリエーションについても同様だ。CB400シリーズでは伝統的に赤×白、青×白、黒ベースといったツートーンが人気を集めてきた。これらを新型でも踏襲し、さらに新色としてマットカラーやグラデーション塗装が追加されることで、既存ユーザーと新規ユーザーの両方に訴求できる展開が期待される。

第8章:ライバル車との比較から見るポジショニング

CB400の後継モデルが市場に登場した場合、その立ち位置は極めて戦略的な意味を持つことになる。なぜなら、400ccクラスというのは日本国内においては特異な存在であり、グローバル市場では希少だからだ。したがって、国内市場を主眼に置きつつも、世界展開も視野に入れた設計が求められることになる。

ライバル車として真っ先に挙げられるのは、カワサキのZ400だ。並列2気筒エンジンを搭載し、軽量でスポーティな特性を持つZ400は、若年層や女性ユーザーからも高い支持を受けている。価格も比較的リーズナブルで、CBの対抗馬として最も直接的な存在である。

次にスズキのSV650やヤマハのMT-07といったミドルクラスも視野に入ってくる。これらはすでに“グローバルスタンダード”となっており、コストパフォーマンスに優れ、海外市場を重視したパッケージで構成されている。CB後継機がこれらと同等の装備や性能を備えた場合、“中量級上限モデル”としての位置づけも可能となるだろう。

また、ネオクラシック路線であれば、カワサキのZ900RSやヤマハのXSRシリーズが意識される。これらは大型バイクではあるが、デザイン志向が強く、ライダーの所有欲を刺激する仕上がりとなっている。CB後継機が“中型で乗れるクラシカルな一台”を目指すのであれば、Z650RSのような存在とも競合する可能性がある。

ただし、ホンダにはホンダの文脈がある。CBというブランドは単なるカテゴリー名ではなく、「操る楽しさ」「信頼性」「長く付き合える相棒」としての意味が込められている。CB400SF/ボルドールが持っていた“万能性と品格”を再解釈し、ライバルとの差別化を図ることが、最も重要な戦略となるだろう。

次章では、こうした立ち位置やライダーの変化を踏まえ、CB400の後継機がどのような役割を担うべきか、日本の二輪市場における中型バイクの未来とともに考察する。


第9章:市場ニーズと400ccスポーツの未来

近年の日本のバイク市場においては、50cc〜125ccの小排気量帯と、大型バイクの二極化が進んでいる。特にコロナ禍以降、密を避ける移動手段としての需要が高まり、原付二種や軽二輪の販売が好調に推移した。一方で、ライフスタイル重視のユーザー層が増え、大型バイクの売上も回復傾向にある。

このような中で、400ccクラスは“宙ぶらりん”の存在に見えるかもしれない。だが実際には、維持費とパワーのバランス、取り回しやすさ、そして走りの楽しさという観点から、非常に実用的かつ魅力的なカテゴリーである。

教習車両や初めての中型バイクとしての需要は今なお根強く、さらに“軽快に乗れるセカンドバイク”を求めるベテラン層からも注目されている。CB400SFはまさにその需要を長年支え続けてきたモデルであり、後継機の登場はこうした潜在的ユーザー層に対する最良のアンサーとなり得る。

また、最近の若年層は「所有」よりも「体験」や「満足感」を重視する傾向が強く、ただ速いだけでなく、“乗っていて気分が高まる”“写真を撮りたくなる”ような価値を重視する。この意味でも、上質な仕上がりと洗練されたデザインを備えた400ccバイクは、高い支持を得る可能性を秘めている。

さらに、国土の狭い日本では、400ccというサイズ感は非常に理にかなっている。都市部での取り回し、高速道路での余裕、山間部での操縦性——すべてにおいて“ちょうどいい”サイズであり、現代のライフスタイルと交通環境にもフィットする。

このように、400ccクラスの存在価値は決して薄れてはいない。むしろ、成熟したライダー文化と多様な価値観が交錯する今だからこそ、その中間点にある“万能なミドルバイク”が求められているのだ。

続く終章では、CB400の系譜がこれからどこへ向かうのか。その未来と意義について、総括していく。

終章:CBという名の継承、そして次なる時代へ

CB400SF/ボルドールというモデルがもたらしたものは、単なるバイクの枠を超えた“文化”であり、“記憶”だった。多くのライダーがこのバイクと共に道を走り、季節を感じ、仲間と語らい、ひとつの時代を生きた。その軌跡は、日本の中型バイク市場の隆盛と縮小を象徴する存在でもある。

だが終わりは、必ずしも喪失を意味しない。むしろCBのような存在は、形を変えて何度でもよみがえる。テクノロジーが進化し、価値観が多様化し、社会の在り方そのものが変わっていく中で、バイクの役割もまた変化している。そんな現代においてこそ、CBの精神——誠実な造り、扱いやすさ、乗る喜び——は、次世代のバイク像に引き継がれるべき財産である。

ホンダがこの遺産を未来へどうつなげていくのか。CB400の後継機は、単なる“モデルチェンジ”ではなく、ホンダの哲学そのものを再定義する一台になるだろう。

静かに、しかし確実に期待が高まるなかで、我々ライダーはもう一度あの“ちょうどいいバイク”に出会う日を待ち望んでいる。そして、その時が来たならば、かつてのようにキーを回し、エンジンをかけ、アクセルをひねるだけで、あの日の鼓動が蘇るに違いない。

CBは終わらない——それは再び、走り出すための準備期間なのだ。

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